スタックシンバルというスタイルの「楽器」が誕生したのも実はこの数年のこと。
もともとそういう使い方をしていた人もいたけれど、実際にその音や使われ方が広まったのは本当の意味では2015年以降くらいからではないでしょうか。
Contents
簡単に言うとシンバルを何枚か重ねた(スタックした)ものです。
最初に誰が始めたかわかりません。
元々、割れシンバルを意図的に余韻の少ないエフェクトシンバルとして用いられることは過去からありました。
しかし割れシンバルは使うにつれて割れが広がってしまい、同じ音質を長い期間にわたって演奏で再現するには不向きだったので改善が必要でした。
そこで現れたのが、割れシンバルや普通のシンバルなどを複数枚重ねて使う手法。
スタックシンバルの作り方は難しくありません。
好みの、もしくは用済みになったシンバルを複数枚重ねてセットするだけです。
「ガシャ」というノイズ成分の多い短い音がするでしょう。
その音がたまらなく好きだ!と思うドラマーさんが増えたことも流行した理由ですね。
もちろん、重ねるシンバルの種類で音色が変わるのでいろいろ試して、好みの音色が出る組み合わせを探してみてください。
貸しスタジオやガレージセールで、割れシンバルが数百円で売られていますので、最初はそれらを活用してみるのが良いでしょう。
私は18インチクラッシュが同心円状にヒビが入ったものと、500円で買ったヒビ入り16インチ穴あきシンバルの組み合わせをよく使います。
もともと持っていたものに、500円で購入したものを組み合わせているので、導入価格としては高価なものではありません。
ヒビ入りシンバルはヒビが伸びないよう、ヒビ留め(割れ留め)という穴を空けておくと良いでしょう。
もしくはカットする方法もあります。
自分でドリル加工もできますが、不安な方はカスタム工房などへ持ち込んでみてください。
1箇所数百円というケースが多いです。
穴あけと同時にバリを取ってくれたりもするので、工具を揃えるよりも安価な場合も。
手軽にできるスタックシンバル。
新しい音の世界への旅として、ぜひ試してみましょう。
スタックシンバルは自由な表現方法のひとつなので、これ!といった決まりはありません。
自由に組み合わせて良いのです。
とは言ってもいくつかの手法があるので、ご紹介しましょう。
先の私のケースでは18インチクラッシュと16インチ穴あきでした。
この組み合わせでは、16インチ穴あきを下に、18インチクラッシュを上にスタックして使っています。
その組み合わせにした理由はカップサイズの組み合わせがあったから。
複数のシンバルのカップが綺麗にそろった形状であることは希です。
そのため、スタックしたときにエッジ部分の浮きが気になる方も多くいます。
このようなポイントがスタックの組み合わせでは余韻などの面で重要に。
また、18インチクラッシュを叩いて、エフェクトサウンドが得られるような演奏上の違和感も少なく感じたことも大きな理由です。
もちろん、上下を逆にスタックしても問題ありません。
小さいサイズのシンバルを上に使う方法もあります。
この場合、音質といった音色の問題よりも、余韻の方が大きく影響するかもしれません。
チャイナなどエッジの反っている小口径シンバルを上にスタックする場面もよく見かけられる王道です。
また普通のチャイナの中にスプラッシュなどを組み合わせるアイデアだってとても便利。
そこはスタックシンバルの特徴でもある組み合わせ次第というポイントなので、好みの音になるまで様々なシンバルの組み合わせを試してみてください。
もちろん理想的な組み合わせが最初から見つかることは多くありません。
その場合は、最初から最適な組み合わせでスタックで販売されているシンバルを選ぶことも簡単な手法です。
上記のように定番のガシャっという音色を生み出すシンバルが組み合わせで販売されているので、試してみるのも良いでしょう。
これらは組み合わせて使うことを前提とされているため、比較的安価に入手することができます。(普通のシンバルを2枚買うよりも安価という意味)
変わり種としては、イスタンブール・アゴップ社のクラップスタックです。
この組み合わせはガシャというノイズ音ではなく、TR-808というリズムマシンのハンドクラップ音をねらったスタックとなっていて非常に使える音色になっていますので気になる方は是非お試しください。
シンバルをスタックするのではなく、鈴・ワイヤー・タンバリンをスタックするドラマーさんも増えています。
この手のパーカッションをスタックする場合、ライドシンバルに引っ掛けて刻む音への装飾として使われる手法が主流のようですが、そこは自由な世界。何をしても構いません。
あなたの自由な発想で新しいスタックシンバルを発明してみてください。
スタックシンバルはその組み合わせで音色が変わることからいろいろ試してみたくなる気持ちはわかります。
しかし、金属同士を重ねて試すことが多いので、すり傷はどうしても避けることができません。
そのため、店頭でのスタックでの試奏は、最初からスタックでの組み合わせ以外はお断りされるケースがほとんど。
大切にしているシンバルも同じこと。
スタックすることで新しい音色は楽しめますが、スタックすることで傷が付く、ということは頭の片隅に置いておいてください。
重ねシンバル自体は昔からありましたが、スタックシンバルは新しいジャンルのものかもしれません。
各メーカーから様々なアイデアのスタック用シンバルが出ていますので、ぜひ試してみてください。
スプラッシュサイズから20インチ程度のものまで様々にラインナップされています。
ぜひ、好みの組み合わせを楽しんでください。
もちろん日替わりなんて楽しみ方もあるので、いくつか所有してると楽しさも倍増ですね!