現代ではクラッシャーというカテゴリーで各種製品が発売されるようになりました。しかし昔からあったわけではありません。
1980年後半ごろ、アメリカで音楽活動をしていたピート・エンゲルハートさんは自分の欲しい音はこれじゃない!と言い出し、自分で板金して理想の楽器を作ってしまったことに端を発します。
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簡単に言うと長方形の鉄板を何枚か重ねた楽器なのですが、現代ではガシャっという音のする楽器全体の総称として用いられるように。
一括りにクラッシャーと呼ばれることの方が多いかもしれませんが、その種類は膨大にあります。
元祖とも言えるリボンクラッシャーはピートさんの作品で、車のスチールバンパーを叩いたような音がします。
3枚の鉄板の両端を留めた本体をシンバルスタンドなどに取り付け、本体底面から通したシンバルスタンドの軸棒で鉄板の揺れをコントロールするようにできていました。
鉄板の長さや、2つ3つ組み合わされたリボンクラッシャーなどいくつかのバリエーションがあったようです。
私も本家ピートさんのリボンクラッシャーを所有していましたが、ある吹奏楽団へ貸し出したときに紛失されてしまったため、現在では手元にありません。
現時点でリボンクラッシャーというとリズムテックからリリースされているRC11が最もその原型をとどめています。
その名もずばりリボンクラッシャーという製品なので、商標や著作権関係がクリアされた製品なのかもしれませんね。
しかしリズムテックのリボンクラッシャーは、アタックの鋭い本家のものよりマイルドなアタック音で、ピートさんの音を求む人には柔らかいかもしれません。
現代音楽の中ではシンバルなどとの相性もよく、導入しやすいクラッシャーとなっています。
クラッシャーに似た音で入手しやすい楽器としては、セイビアン社のチョッパーという3枚重ねのエフェクトシンバルがあります。
サイズも8インチ〜12インチまで揃っているので、アタック音のピッチや音量にこだわって選択できるのが魅力。
このチョッパーは現在、受注生産品となっているようで、店頭在庫として選び放題とはいきません。
ピッチの個体差もあるので、狙いたい音を見つけたと感じたら即購入ですね!
複数のシンバルを重ねてクラッシャーっぽい音を出すことができます。
その組み合わせは自由ですが、組み合わせにより音色と余韻がかなり変わります。
こちらの記事を参考に好みの組み合わせを見つけてください。
クラッシャーを名乗るものはいろいろありますが、その効果を狙った他の楽器を紹介しましょう。
マイネル社からリリースされているターボクラッシャーは波打ったリボン(板)が特徴的な楽器です。
大きさもいくつかのバリエーションがあり、波打ったリボン部分をこすることで得られる効果音など、クラッシャーにとどまらない使い方ができます。
その点ではパーカッション向きかもしれませんね。
ただ、アタック音の独自性は認めるものの、音量としてはそれほど大きくないので、ターボクラッシャーという名前から想像する音と現実は少し異なるかも。
それでも気に入った方には導入しやすいセッティングの良さがあります。ぜひ手にとって見てみてください。
パールからリリースされている入手しやすいクラッシャーがこのアナーキークラッシャー。
タンバリンのジングルのようなものが挟まっており、アタック音にひと工夫されています。
名前のとおり、少しアナーキーな感じがするので、鋭い音を求めるなら、良い選択肢です。音色は少し軽い感じですが本家リボンクラッシャーに似た強烈なサウンドもおすすめポイント!
残念ながらカタログ品ではありませんが、DDEQというカスタムメーカーからシンバルリサイクルプロジェクトの一環として、シンバルをリボンに見立てたクラッシャーがあります。
これはシンバルのリサイクルという観点もありますが、音色が最もピートさんのリボンクラッシャーに似ていると感じています。
カタログ品ではないため、見つけたら即試奏必至です。
様々なメーカーのシンバルによるリボンを使っていますので、個体差は大きいです。
気になる方はDDEQさんのツイッターをウォッチして納品状況をチェックしましょう!
実は国内では正規輸入されていませんが、代替わりしたピートさんのクラッシャーが流通しています。
形状など大きく変わっているために、試奏するまで半身半疑でしたが、1発叩いてたところ「あの音だ!」と驚くこと然り。
アップデートされている点も多く、スチール3枚が基本ですがアルミ3枚が付属品として添付されています。そのためそれらを組み合わせることで多彩な音色を得られるようにアップデートされています。
オールスチールの鋭いアタック音からオールアルミのマイルドなアタック音まで自由自在!
トップだけアルミで残りはスチールなんて使い方もできるので、より使える楽器になっています。
さまざまなクラッシャーがあります。
オリジナルにこだわりのある人もいれば、クラッシャー音ならなんでも良いという人までいるでしょう。
私は紛失された悲しみからオリジナルのリボンクラッシャーを探していたこともあり、ピートさんの作品基準で各種製品をご紹介しましたが、どれもクラッシャーとしては優秀な製品ばかりです。
ぜひ、ご自身の気になる製品を手にとってほしいと思います。
また、オリジナル作成者であるピートさんは高齢でもあるので、手作りで作られている現在のGon Bops製もいつまで入手できるか不明です。
気になる方は是非探してみてください。
クラッシャーはその魅力と魔力に多くの人々が取り憑かれます。
あなたにとって最良のクラッシャーが入手できますように。